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✎理事長ブログ

10年目の夏

2014-08-10
ラクダに乗ってイスラエル見物を楽しむ理事長
死海に浮かび、不思議な浮揚感を味わう理事長
入所者が咲かせた壁に咲く朝顔
入所者が描いた夏祭りポスター
入所者が描いた夏祭りポスター
 2005年8月、プロスペクトガーデンを設立して迎える初めての夏、泌尿器科の学会での講演のためイスラエルのエルサレムに旅行をした。イスラエルは砂漠の国であり、今年の日本のように、猛暑の夏であった。会議はイスラエルの首都エルサレムで開催された。
 エルサレムは不思議な雰囲気を湛えた町であった。イスラム教、ユダヤ教、キリスト教の3つの宗教の聖地であるため、様々な人がいる。イスラエル国家はユダヤ教を信じる迫害されたユダヤ人のために後から建国された。イスラエルはエルサレムを首都と主張しているものの、国際連合を含めて多くの国家はエルサレムを首都と認めていない。3つの宗教の聖地であるから当然だ。もともとこの地に住んでいたイスラム教を信仰するアラブ人を中心とする集団は、パレスチナ自治区を形成しエルサレムの東部地域に住んでいる。現在のガザ地区である。その中心的役割を果たしているのはイスラム原理主義集団ハマスであり、1990年民衆レベルでのイスラエル国家への抵抗組織として設立された。

学会の会期中、自分の講演が終わると、早速、パレスチナ自治区の中にある旧市街やハマス内部を見学に出かけた。物価が安いので、学会の会期中、移動のためと、安全を考えて、タクシーをチャーターした。パレスチナ自治区では機関銃を持った兵士が至る所に見られ怖かったが、旧市街は聖地巡礼者で溢れかえり、荘厳な雰囲気を呈していた。宗教的緊張した平和を感じた。
一方ハマスは想像していたよりはるかに進んだ知的社会で、乾燥した地帯であるため、工場内での農業ともいうべき、コンピューターで管理された水耕栽培がおこなわれていた。イスラエルの土地の多くが砂漠地帯であるのに対し、ハマスはオアシスのように緑に囲まれていた。物価もイスラエル市街のほぼ半額であり、我々がチャーターしたタクシーの運転手は、パレスチナ自治区で、我々が見学している最中、買い物を楽しんでいた程である。聞くところによると、パレスチナ地区はイスラエルではないため、イスラエルの人は許可なしには買い物ができないとの事、タクシーの運転手は我々がチャーターしたため、買い物ができたとの事であった。
ラクダに乗ってイスラエルの砂漠を散歩したり、海抜よりずっと低い死海で泳いだり、緊張の中にも荘厳で平和な雰囲気に包まれた、不思議な楽しい1週間の旅行であった。
 

 
2014年の猛暑の夏。地球規模での大雨・地震など様々な気象異変、原因不明の飛行機事故、ウクライナの内戦など世界は狂っているようだ。10年前、緊張した中にも荘厳で平和な空気に満ちていたイスラエルのパレスチナ自治区では、今日も、イスラエル政府軍とハマスを中心とするイスラム原理主義組織の軍事衝突が続き、戦死者は1800人を超えていると新聞・テレビで報告されている。
 日本国内も同様に狂っている。原発事故の検証も復興もないままに、汚染水は垂れ流し、原発再稼働が計画され、集団的自衛権容認の議論、経済効果と云うまやかしで武器輸出三原則が見直される等、この国は狂った未来へ突き進んでいるように思えるのは私だけの悪夢であろうか。
 
8月猛暑の中、設立後10年目の夏を迎えるプロスペクトガーデンは夏祭りの準備で賑やかだ。我々の介護に対する姿勢が共感を呼び、県外から入所して来られる方、見学の方も多くなった。賑わいを見せる施設の壁には朝顔の花が咲き乱れ、夏祭りのポスターが微笑んでいる。
 

 
緊張の中にも荘厳で澄みきった空気に満ちていた10年前のエルサレムの夏を思い出しながら、プロスペクトガーデン10年目の夏祭りを迎えたい。

 もう一度、死海に浮かんで、燃えるような夏を楽しみたい。

2014年8月10日 理事長
 
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