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✎理事長ブログ

憂鬱なる党派

2014-07-21
高橋和巳著 憂鬱なる党派
ある日の常磐道:追い越し車線を100キロで走る車で溢れている
1956年型、60歳のポルシェ356スピードスター
職員から頂いた心のこもった賞与
遥か前、大学に入ったばかりの私の心を虜にしたのは、高橋和巳という京都大学の国文学の助教授が書いた小説「憂鬱なる党派」であった。著者は「この作品で、敗戦の苦痛はまだ癒えず、新しい理念は形成されないままお互いに角遂し、分裂し、やがて諸共についえ去った憂鬱な青春にも、一片の真実のあったことを証明したい。」と述べていた事を鮮明に覚えている。
 

 
 政権が鹿児島の川内原発再稼働を了承したニュースを聞いて、突然「憂鬱なる党派」を思い出した。福島原発事故の検証も終わらず、全国の原発で事故が起こった時の避難計画も全くできていない中で、火山地帯にあって、本来造られるべきではなかったとさえ言われている鹿児島の川内原発が再稼働に足る安全基準をクリアしたというのは、安全基準それ自体が不備であり、原子力規制員会がその本来の役割を果たしていないと考えるのは私だけではあるまい。
 原発が稼働しないと電力不足になるとか、火力発電のための原油の輸入が増えて経済を悪化させるとか、原発自体の安全性、有効性が議論されないまま、なし崩し的に原発が再稼働され、さらに、政府自ら、日本の原発を安全と言って諸外国に売り込んでいる状況を考えると「憂鬱」を通り越して「悲惨」な気持ちになる。
 一片の真実があった若き日の憂鬱が甘く懐かしく思い出される。
 

 
 6月にドイツ国内を車で旅行した。電気料金は日本よりはるかに高く、ガソリンは1リットル200円位とこれも高い。しかし国民の生活は、日本と比べて遥かに自然で落ち着いているように感じた。ドイツでは高速道路の速度制限はない。そのため、車は追い越し以外は常に右側車線を走っている(ドイツは右側通行だから右車線が低速車線)ため、車の流れはとてもスムーズである。5時間も走ればフランクフルトからイタリア国境まで行ける。約900キロの距離である。
 速度制限がないからこそ、一旦、80キロの制限速度の表示が出ると全ての車が即座に80キロまで減速するのにはちょっと驚いた。高速道路が100キロ制限であり、追い越し車線を100キロで堂々と走る車で溢れている日本とは大違いだ。
 

 
 ドイツの田舎道は一般道路でも100キロ制限である。街並みに入ると50キロになるが、ほとんどの車はきちんと50キロに減速する。
 電気料金が高いせいか、もともと節約が徹底しているのか、ドイツを旅行して、不要な電気の使用は少ないように感じた。日本では2-300メール毎に点けられている高速道路の外灯もドイツの高速道路ではほとんど見られなかった。電気料金が高くても、使用量が少なければ、負担は少ないはずだ。国民一人あたりの電気使用量を日本とドイツで比較したら、原発全廃を決めているドイツと、再稼働しようとしている日本のどちらが正しいかわかるような気がした。
 

 
 ドイツではクラシックカーの税金が非常に安い。というよりほとんどタダである。日本では有毒排気ガスをまき散らすとかいうおかしな理由で13年以上たった車の税金が高くなるが、古い車を大切に使う文化がない国が情けなくなる。使い捨てほどエコロジーには逆行するものだ。高齢者の福祉をまともに考えようともせず、さらに、高齢者がお金を貯めこんでいると言って、高齢者から搾取しようとしている国だから仕方がないかと諦めてはいるが、憂鬱極まりない。
 

 
7月10日は職員にボーナスを支給した。たった一人ボーナスをもらえない理事長に職員からラブレターが届いた(笑)。真心の詰まった沢山のボーナスに感激して、夜通しで読んだ。束の間ではあったが、「憂鬱なる党派」から「希望の党派」へと変われそうな気持になった。
 

 
今年の梅雨は鬱陶しい。夏の太陽が待ち遠しい。
 
平成26年7月20日 理事長
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