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✎理事長ブログ

惜しむ心

2017-01-01
 歳末恒例の「今年の漢字」は「金」というニュースを聞いて、メダルラッシュに沸いたリオデジャネイロのオリンピックを思い出す前に、「カジノ解禁法案」を連想してしまった。
 カジノはグローバルな利権であり早晩アメリカのカジノ経営者は日本上陸を試みるに違いない。国内でも民間では開設に関して権利争いが始まっており、観光庁を抱える国交省、パチンコ業界の監督官庁である警察庁、産業育成を唱える経産省や財務省の利権争いさえ始まっていると聞く。
 次期アメリカ大統領のトランプ氏はアメリカ東部のアトランティックシティでカジノを経営しているのは有名な話だが、彼の経営する「トランププラザ」と「トランプタージマハル」は2014年に経営不振で閉鎖した。世界中のカジノは軒並み経営不振に陥っており、次期アメリカ大統領のカジノさえ倒産するカジノを「成長産業」なんて言う政治家はバカか間抜けか悪質な詐欺師のように思える。
 お金を惜しみ、資源を惜しみ、時間を惜しみ、国の財政も家計のやりくりも「惜しむ心」があって初めて成り立つ。カネが無制限にあればすべてが解決できるが、日本は貧乏国である。日本国の借金は1000兆円を超え、金融破錠したギリシャより深刻である。日本人が持っていた尊い「惜しむ心」の対極にあるのが、一刻千金を狙う賭博であろう。「惜」という字の「心」が「金」に置き換わると「錯誤」の「錯」になり、心が金に…はギャンブル依存症の悲劇を連想させる。
 2016年今年の漢字が「金」になりカジノ法案が成立したその晩に夢で見た「私の今年の漢字」は、日本経済に対する世界の評価であった「優秀」の「秀」の字が悲しい「金」にまみれて「銹(さび)」に変わる「銹」であった。
 
 今年は酉年。酉(鳥)は希望を運んでくると言われている。噺家は「真打ち」に出世すると寄席で「トリ」をとることが出来る。その興業の主になるわけだ。
 私の大好きな入所のお婆ちゃんが、「理事長先生がいつまでも元気なように」と言って、私の為に「白い鳥」を作ってくれた。去年のサルを惜しみながら机の上に一緒に並べてみた。
 施設の玄関では希望の鳥が新しい年を迎えている。今年も良い年でありますように。
 
平成29年1月1日 理事長 森田隆
施設の玄関の酉たち
惜しむ心「申」と時を運ぶ「酉」
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