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✎理事長ブログ

春の夢

2014-02-28
アウトバーンを飛ばしてアルプスを越える
 昨年暮れ、久しぶりにドイツのアウトバーンとイタリアのアウトストラーダを飛ばした。フランクフルト空港から、シュツットガルトを経由して、アルプスを越え、北イタリアのメラーノまでの旅だ。辺りは一面の雪、圧雪状態の道路を、時速150kmで飛ばしていても、時折、さらに高速で追い越していく車がいる。そう、ここは制限速度がないのである。ここでは車は右側の低速車線が空いていると必ず右側を走る。即ち、高速で安全に走ることが出来る車は安心して走るルールが出来ている。突然、速度制限のないアウトバーンに速度制限の標識が出ると、感心するぐらい、全ての車は一斉に制限速度まで速度を落とした。同乗のドイツの友人の話では、違反するととても厳しいそうだ。
 

 
 フランクフルトからメラーノまで、途中圧雪の道路でも、700kmの距離を6時間あまりで行くことができた。速度制限がないヨーロッパの高速道路での事故率は速度制限を設けている国々と比較しても特に高くないという。日本なら時速50km制限どころか乗り入れ禁止になるような圧雪の高速道路を何事もないように車が流れていく様を見ると、自己責任の考えがきちんと出来ている国が羨ましくなった。
 関東地方ではこの1-2週間記録的な大雪が降り交通や物流の混乱が続いた。高速道路の閉鎖が多発したのは、冬用のタイヤやチェーンを付けない車が動けなくなり、他の車の通行を妨げたのが大きな原因という。ドイツの友人の話では、ドイツでは最高気温が8度を下回るとスタッドレスタイヤの装着が義務付けられているという。最高気温が8度では最低気温は零下になることが多く、30度以上の高温まで性能を発揮するように設計されている夏タイヤでは、零下の道路を安全に走れないというデータに基づいた法整備であるという。
 2月27日付の新聞に、福島県いわき市沖でとれたカサゴから国の基準を上回る放射性セシウムが検出されたという記事が出ていた。カサゴは深海にすむ魚である。汚染が深海まで達しているという証拠である。放射能汚染水は相変わらず垂れ流しであり、解決の糸口さえ見えない中で、行政は原子力発電の再開を目指している。この国では、自己責任は何処に行ったのか。これは夢であって欲しいと願うのは私だけではないであろう。
 儚い夢の中にも、素敵な夢もある。ソチ冬季オリンピックでの浅田真央選手である。前日のショートプログラムに失敗し、メダルの望みが絶たれた中で、完璧な演技を見せて観衆を魅了した。勝つために全力を尽くすのは当たり前の事であるが、負けると決まったあとに全身全霊を込めるのは誰にでも出来る事ではない。浅田真央の自己責任には感銘を受けた。失敗は、国にも個人にもある。私は、この国を率いる人たちに、浅田真央のような勇気と強い心を持って欲しいと願う。
思い出す短い歌がある。「いっそ、大きく凹もう、いつか、多くを満たす、器になるのだ」(伊東柚月)。
 儚い春の夢の中で、自己責任を失って大きく沈んだこの国に、近い将来、勇気と幸せが満ちた自己責任の国が生まれる事を夢見ている。
 
 もう春はすぐ其処にある。
 
平成26年2月 理事長 森田隆
 
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