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呼吸器コラム⑤

花粉症は「体質だから仕方ない」は本当? いま知ってほしい、治療の選び方

春になると、くしゃみ、鼻水、目のかゆみで生活の質が大きく下がります。「毎年つらいけれど、薬で我慢するしかない」と思っている方は少なくありません。しかし現在の花粉症治療は、単に症状を抑える段階から、体質そのものに介入する段階へ変わりつつあります。治療の違いを知ることが、毎年の春を変える第一歩になります。


花粉症の薬には「3つのタイプ」があります

花粉症治療は大きく3種類に分かれます。効果の仕組みがまったく異なるため、目的に応じて選ぶことが重要です。

① 抗ヒスタミン薬(飲み薬)

最も一般的な治療です。アレルギー反応で放出されるヒスタミンを抑え、くしゃみや鼻水を軽くします。多くの方で症状は30〜50%程度軽減しますが、薬をやめると効果はなくなります。つまり「今年を楽にする治療」です。

② 舌下免疫療法(スギの体質改善治療)

毎日、少量のアレルゲンを舌の下から取り入れ、免疫の過剰反応を徐々に弱める治療です。2〜3年継続すると、約60〜80%の患者さんで症状が明らかに軽くなり、薬の使用量も減少します。治療終了後も効果が続くことが特徴で、「花粉症そのものを軽くする」可能性があります。
ただし即効性はなく、効果を実感するまで時間が必要です。将来の春を楽にするための“積み立て型”の治療といえます。

③ ゾレア(重症花粉症への注射治療)

重症のスギ花粉症に対して使用される注射薬で、アレルギー反応の中心となるIgEという物質を直接ブロックします。通常の薬で十分改善しない方に追加すると、症状スコアがさらに20〜40%低下し、重症の日数が大きく減ることが報告されています。

数週間で効果が現れるため、「今年どうしても乗り切りたい」方に向いた治療です。

④食事療法(エビデンス弱)
花粉症は「花粉が多いからつらい」のではありません。
同じ花粉を吸っても、症状が強い人と軽い人がいるのは、体の炎症の起こしやすさが違うからです。
食事は花粉を止めることはできませんが、免疫の過剰反応を弱める方向に働きます。
魚、発酵食品、野菜中心の食生活は、数週間から数か月かけて症状の出方を穏やかにする可能性があります。
「薬か食事か」ではなく、「薬+体質調整」という考え方が、これからの花粉症対策です。

どの治療を選ぶべきか

治療は優劣ではなく目的の違いで選びます。
  • 毎年の症状をまず抑えたい → 抗ヒスタミン薬
  • 将来的に花粉症を軽くしたい → 舌下免疫療法
  • 薬を使っても生活に支障が出る → ゾレア追加治療
重要なのは、「つらさの程度」と「将来どうなりたいか」を医師と共有することです。

花粉症治療は“我慢”から“治療”へ

以前は「花粉症は体質だから仕方ない」と考えられていました。しかし現在は、症状を抑える治療、体質を変える治療、強力に反応を止める治療を組み合わせる時代になっています。
毎年同じ苦しさを繰り返している場合、それは治療が足りないのではなく、治療の選び方が合っていない可能性があります。
今年の春をどう過ごしたいか、そして来年以降をどう変えたいか。一度、治療の選択肢について相談してみてください。
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