呼吸器コラム⑧
花粉症の薬にステロイドが入っていることをご存じですか? 「よく効く薬」が感染症リスクを高めることがあります
花粉症の薬にステロイドが入っていることをご存じですか?
「よく効く薬」が感染症リスクを高めることがあります
花粉症の治療薬の中には、抗ヒスタミン薬に加えてステロイドが含まれているものがあります。
代表的な薬にセレスタミン®やエンペラシン®があります。
症状が速く楽になるため「よく効く薬」と感じられますが、通常の花粉症治療とは異なる注意点があります。
ステロイドは免疫の働きも弱めます
ステロイドは炎症を強力に抑える薬ですが、その作用はアレルギー反応だけでなく、細菌やウイルスから体を守る免疫反応にも及びます。そのため、全身性ステロイド内服では感染症が起こりやすくなることが知られています。
短期間の内服でも感染症リスクは上昇します
100万人以上を対象とした大規模研究では、14日以内の短期ステロイド内服後30日間において、
- 肺炎などの呼吸器感染症
▶ 1.4〜2.2倍 に増加 - 敗血症(重い感染症)
▶ 約5倍 に増加
することが報告されています。
さらに別の解析では、短期投与であっても感染へのかかりやすさが上昇し、二次的な細菌感染が一定割合で発生することが示されています。
咽頭炎や気管支炎が長引く理由になることも
免疫が一時的に抑えられることで、
- 咽頭炎が治りにくい
- 細菌性気管支炎が合併する
- 風邪を繰り返しやすくなる
といった状況が起こることがあります。
「症状は楽になったのに、あとから体調を崩した」というケースは、この作用で説明できる場合があります。
花粉症治療の第一選択ではありません
現在のガイドラインでは、花粉症の基本治療は次が推奨されています。
- 第二世代抗ヒスタミン薬
- 点鼻ステロイド(局所治療)
- 点眼薬
これらは全身免疫への影響が少なく、安全に継続できる治療です。
全身性ステロイドを含む内服薬は、重症例で短期間に限って慎重に使用される薬と位置づけられています。
「よく効く」ことと「安全」は同じではありません
ステロイド含有薬は症状を強く抑えるため即効性があります。しかしその効果は、免疫反応全体を一時的に弱めている結果でもあります。
花粉症治療では、強さよりも「安全に続けられること」が重要です。薬の内容が気になる場合は、自己判断で継続せず医師に相談してください。
