呼吸器コラム⑩
睡眠時無呼吸症候群(OSA)とCPAP治療
睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea: OSA)は、睡眠中に上気道が閉塞し、呼吸が繰り返し止まる疾患です。
無呼吸や低呼吸が生じると血液中の酸素が低下し、覚醒反応が繰り返されます。その結果、睡眠の質が低下し、日中の眠気や集中力低下を引き起こします。
まず重要なのは、この疾患が決して珍しいものではなく、生活習慣病と密接に関連している点です。
疫学研究では、成人の約20%がOSA(AHI≥5)を有すると報告されています。
また高血圧患者では約3人に1人がOSAを合併するとされ、治療抵抗性高血圧ではさらに頻度が高いことが知られています。OSAでは睡眠中の低酸素と交感神経活性化が繰り返されるため、高血圧、心筋梗塞などの心血管イベントのリスクが上昇することが報告されています。
さらに、眼圧上昇や視神経血流障害との関連が指摘されており、緑内障のリスク増加も報告されています。
このように、OSAは単なるいびきや眠気の問題ではなく、全身疾患として適切な診断と治療が必要な病気です。
OSAの重症度は、睡眠中の無呼吸低呼吸指数(Apnea-Hypopnea Index: AHI)で評価します。AHIは1時間あたりの無呼吸・低呼吸回数を示す指標であり、次のように分類されます。
・AHI 5〜15:軽症
・AHI 15〜30:中等症
・AHI 30以上:重症
軽症OSAでは、体重管理などの生活習慣改善に加え、口腔内装置(Oral Appliance: OA、マウスピース)による治療が行われることがあります。
一方、中等症以上ではCPAP療法が標準治療となります。CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)は、睡眠中に一定の空気圧を送り気道の閉塞を防ぐ治療であり、無呼吸指数を改善し、日中の眠気だけでなく血圧や心血管リスクの改善にもつながります。
当院では、睡眠時無呼吸症候群に対するCPAP療法を行っています。
CPAP装置には使用状況や無呼吸指数などのデータ記録機能があり、外来ではこれらのデータを確認しながら治療効果を評価します。
治療が安定している患者さんでは、通院はおおむね3か月に1回程度でフォローが可能です。
大きないびき、睡眠中に呼吸が止まると言われる、日中の強い眠気などの症状がある場合には、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
気になる症状がある場合には、当院にご相談ください。
