本文へ移動

呼吸器コラム⑯

肺炎は「治って終わり」ではありません ― 生活機能が落ちる病気です

「肺炎は抗菌薬で治る病気」
そう思っている方は多いと思います。

たしかに感染そのものは治療できますが、特に高齢の方では、
肺炎をきっかけに体の機能が落ちてしまうことが少なくありません。


肺炎のあと、何が起こるのか

肺炎で入院した高齢者では、

  • 約30%(市中肺炎)
  • 約80%(医療・介護関連肺炎)

の方が、入院前と同じ生活に戻れなかったと報告されています
(Kato T, et al. J Infect Chemother. 2016)。

さらに、50歳以上の患者を対象とした研究では、退院6か月後の時点で、

  • 約13%:基本的な日常生活動作(ADL)が低下
  • 約23%:買い物や家事などの生活動作が低下
  • 約42%:認知機能の低下
  • 約24%:生活の質(QOL)の低下

がみられました(PNEUMO study, 2025)。

つまり肺炎は、単なる一時的な感染症ではなく、
その後の生活に影響を残す病気です。


なぜ肺炎で弱ってしまうのか

肺炎になると、

  • 発熱や炎症による体力低下
  • 安静による筋力低下
  • 食欲低下による栄養状態の悪化

が重なります。

この結果、**「フレイル(虚弱)」**と呼ばれる状態に進み、
回復に時間がかかったり、元の生活に戻れなくなることがあります。


だからこそ「予防」が重要です

肺炎の原因として最も多いのが
肺炎球菌です。

この菌に対してはワクチンで予防が可能ですが、
日本での接種率は約30%程度にとどまっています。


ワクチンは「生活を守る医療」です

肺炎球菌ワクチンには、

  • 肺炎の発症を減らす
  • 重症化を防ぐ
  • 入院や死亡のリスクを下げる

効果が示されています

つまり、ワクチンは
「肺炎を防ぐ」だけでなく、「これまでの生活を守る」ための医療です。


最後に

肺炎は、「一度かかって治るだけの病気」ではありません。

  • 歩けなくなる
  • 外出できなくなる
  • 介護が必要になる

といった変化につながる可能性があります。


肺炎球菌ワクチンについては、当院でご相談いただけます。
接種のタイミングや種類についても含めて、お気軽にご相談ください。

TOPへ戻る