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✎理事長ブログ

理事長挨拶

2010-10-04
 介護老人保健施設「プロスペクトガーデンひたちなか」を開設して約6年、特別養護老人ホーム「さわの森」を開設して4年余りが経過しました。近隣の皆様のご協力ご支援に深く感謝いたします。
私は医師になって以来約35年間大学病院で泌尿器科医として患者さんの治療に当たってきました。患者さんの多くは高齢であり、認知症や運動機能障害なども有している事が多く、せっかく高度な医療を受け、疾患が治癒しても、自宅での生活が難しいために、なかなか退院ができないことがしばしばでした。
 現在わが国では、世界でも例を見ない速さで人口の高齢化が進んでいます。その一方で、核家族化や女性の雇用機会の拡大による社会進出、扶養意識の変化などにより、家族の医療・介護に対する能力は著しく低下しています。少子化がこの傾向に拍車をかけています。住居面についても、日本の住宅構造は、もともと高齢者や障害を持った方にも生活しやすいバリアフリーになっていない為、高齢者、特に病気を抱えた方々にとっては生活がしにくいのが現状です。これらの理由により、わが国において、病院を退院した方や介護が必要な方を在宅で家族が療養、介護することには大きな困難があります。
 これらの実情をふまえ、私は、大学病院のように高度な医療を実践する施設も重要であるが、それと並んで、医療を受けた方々や介護を必要とする方々を、在宅で生活ができ、在宅で医療、介護を受けられるように訓練をする施設が極めて重要であると考えるようになりました。
 このような理由から、大学病院を辞し、郷里のひたちなか市に、介護施設を設立しようと決心しました。
 私は、約20年前、文部省から米国コネチカット州ニューへイブン(New Haven)市にあるエール(Yale)大学医学部泌尿器科に派遣されていました。ニューヘイブン市は大西洋に面し、那珂湊に似た小さな街で、とても気に入っていました。また、エール大学は歴代のアメリカ大統領を輩出していることで有名です。そのエール大学医学部の建物の中に、Prospect Garden(プロスペクトガーデン)と名づけられた、介護を含めた、高齢化した人間社会の将来を研究する教室がありました。介護老人保健施設「プロスペクトガーデンひたちなか」という名称はこれに由来しており、「将来を見通す庭」という意味をこめています。
 介護老人保健施設「プロスペクトガーデンひたちなか」は、高齢者の介護福祉を実践する場であるだけではなく、入所者の家族、地域の人達、学生そして子供達に対する介護福祉の実践的教育の場であることを目指し、地域の人達に介護を実践していただく事によって、理想的な在宅介護の実現に役立ちたいと考えています。
 「プロスペクトガーデンひたちなか」が、在宅介護を支援する機能訓練施設であるのに対し、特別養護老人ホーム「さわの森」は、入所者のご家族のみならず、地域のボランティア、学生そして子供達までもが自由に出入りする、いわば「大家族の我が家」のような環境のなかで、今日の日本の発展のために働いてこられたお年寄を、ご家族の方に代わって一生涯介護する施設です。
 私は、祖父、祖母の顔を知りません。母は私が大学受験の時に亡くなり、父は私が医師になって間もなく亡くなりました。せっかく医師になって、親孝行をしようと思っても出来ません。
 私は、そのような思いを大切にしながら、職員と共に、ご家族の皆様、地域の皆様と協力しながら、現在の日本の繁栄を築き、私たちを育ててくれた、お年寄の介護にあたりたいと思います。これからも、皆様のご支援ご協力をお願い致します。

森田記念会理事長 森田 隆
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